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仙台地方裁判所 昭和59年(わ)64号 判決 1984年6月04日

本籍

宮城県本吉郡志津川町本浜町九四番地

住居

右同

会社役員

今野正七

大正七年一月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官池上政幸及び弁護人畠山郁朗出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、宮城県本吉郡志津川町本浜町九四番地に事業所を置き、今野正七商店等の名称で鰹餌蓄養業を営み、その業務全般を統括していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、収支に関する記帳を行わず、簿外の定期預金を設定する等して所得を秘匿したうえ

第一  昭和五五年分の実際総所得金額が三、四二八万四、八九五円で、これに対する所得税額が一、三八四万二、二〇〇円であるにもかかわらず、同五六年三月九日、同県気仙沼市古町三丁目四番五号所在の所轄気仙沼税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二六二万九、八一〇円で、これに対する所得税額が六万七、八〇〇円である旨の虚偽の所得税の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額と右申告額との差額一、三七七万四、四〇〇円を免れ

第二  昭和五六年分の実際総所得金額が一、八四一万九、五〇二円で、これに対する所得税額が四九八万五、五〇〇円であるにもかかわらず、同五七年三月一五日、前記気仙沼税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一二六万二、〇八〇円の欠損で、納付すべき所得税額はない旨の虚偽の所得税の損失申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額四九八万五、五〇〇円を免れ

第三  昭和五七年分の実際総所得金額が二、七八四万三、四九六円で、これに対する所得税額が九九三万九、七〇〇円であるにもかかわらず、同五八年三月七日、前記気仙沼税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五五九万八、四四五円で、これに対する所得税額が三六万三、八〇〇円である旨の虚偽の所得税の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額九五七万五、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(但し昭和五八年八月二四日付け、同月二五日付け、同年一一月一一日付け(第一回)、同年九月一九日付けは除く。)

一  被告人作成の上申書

一  熊谷幸雄及び今野益二郎の検察官に対する各供述調書

一  末永登喜子及び今野ふみ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「売上調査書」「餌売上調査書」「共同買廻し損益調査書」「雑収入調査書」「売上単価調査書」「仕入調査書」「仕入(定置網等)調査書」「仕入(仲買人)調査書」「仕入(買廻し分)調査書」「歩戻し金等調査書」「必要経費(事業所得分)調査書」「飼料代調査書」「借入金等調査書」「申告事業所得(欠損)金額調査書」「損益通算調査書」「不動産所得調査書」「給与所得調査書」「利子所得調査書」「預貯金等調査書」「雑所得調査書」「社会保険料控除調査書」「源泉所得税額調査書」と各題する書面

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  検察事務官作成の昭和五九年二月二〇日付け電話聴取書

判示第一の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和五八年八月二四日付け及び同月二五日付け各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書(自五五・一・一~至五五・一二・三一)」と題する書面

一  押収してある五五年分の所得税の確定申告書一通(昭和五九年押第三一号の一)

判示第二の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和五八年一一月一一日付け(第一回)質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書(自五六・一・一~至五六・一二・三一)」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「火災損失調査書」「特別減税調査書」と各題する書面

一  押収してある五六年分の所得税の損失申告書一通(昭和五九年押第三一号の二)

判示第三の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和五八年九月一九日付け質問てん末書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書(自五七・一・一~至五七・一二・三一)」と題する書面

一  押収してある五七年分の所得税の確定申告書一通(昭和五九年押第三一号の三)

判示第二及び第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の「貸倒損調査書」と題する書面

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為は、行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項に、裁判時においては、右改正後の同法同条項に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第二及び第三の各所為は右改正後の所得税法二三八条一項に該当するところ、判示第一ないし第三の罪のいずれについても懲役刑及び罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により刑及び犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、各罰金刑については同法四八条一項によりこれを右懲役刑と併科することとし、同法二項により各罪について定めた罰金額を合算し、その刑期及び罰金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金八〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、右懲役刑については、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 片山俊雄)

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